手を整えるということ

爪を整え、好きな色のネイルを施し、手肌にうるおいを与え、やさしく触れる。
「手を整える」という行為は、単なる美容の枠を超えて、多くの意味を持っています。

介護美容の本質は、「見た目を整える」ことにとどまらず、美容を通して「生きる力を支える」こと。

ケアビューティストが行う「手を整える」ケアは、高齢者の身体機能・衛生・心理など、多方面へポジティブにアプローチします。
トラブルを治す医療行為ではなくても、予防的なケアを通して、高齢者の方々の日々の快適さを守ることにつなげていくことができるのです。

手を動かすことは、生活を続けるということ

手や指の状態は、食事・身だしなみ・着替え・入浴など、あらゆる日常動作(ADL)に直結しています。

例えば、爪や皮膚が乾燥・変形すると「ボタンが留めにくい」「物を持つと痛い」などの小さな不便が積み重なっていくことに。
一方で、手指の柔軟性や皮膚の感覚が保たれていれば、自分でできることも増え、生活の自立度も高まります。

手を整えるということは、その人の「暮らしを動かす力」を支えるケア、取り戻すケアでもあるのです。

  • 皮膚の健康という側面 

年齢を重ねると、血行の低下や水分保持力の減少により、爪は薄く乾燥しやすくなります。
爪や指先の荒れは見た目の問題だけでなく、小さな傷口から菌やウイルスが入りやすくなる“健康リスク”につながることも。

だからこそ、清潔に整え、うるおいを保つことは、衛生と快適さを守るための第一歩となります。

  • 手は“自分の存在”を感じる場所 

自分の体のなかで、もっとも目にするのは手。そして、その人の生活や年輪がそのまま刻まれている場所でもあります。
乾燥や長年の手作業で荒れた手を見て落ち込むこともあれば、整った爪先を見て笑顔になることも。

手を見つめるその瞬間に、“いまの自分”をすこしだけ愛おしく感じられるように。

  • 何かに触れる意識を取り戻す 

手が整い、やわらかくなると、自然と「何かに触れたい」「誰かに触れたい」という前向きな気持ちが戻ってきます。
それは、治療やリハビリではなく、生活と心の「再接続」と呼べるものかもしれません。

非医療の領域だからこそ、ケアビューティストの手が届けられるやさしさがあります。

手を「整える・潤す・守る」3ステップ

ミライプラスショップがおすすめするのは、3ステップのケア習慣。介護美容の現場や、ご家庭のなかでも気付いた時に取り入れられる3ステップのケア習慣です。

ほんの数分、手と爪にやさしく触れ、指先の小さな変化をいたわる時間を作る。
その積み重ねが、うるおいと共にすこやかな毎日をもたらします。

① ダメージを補修する  —  爪表面をなめらかに整える

ケアアイテム:ネイルトリートメントセラム(爪補修美容液)

乾燥や摩擦で弱った爪を、しなやかに整えるベースケア。水性ネイルの施術前にもお使いいただけます。

② 潤いを与える  ——  爪まわりや指先にやさしくなじむ

ケアアイテム:ネイルオイル

爪と爪まわりの皮膚を柔軟に保ち、ささくれや角化を防ぐサポートに。

③潤いを閉じ込める  ——  手先の肌表面を保護して守る

ケアアイテム:ハンドクリーム

外的刺激から手肌を守り、与えたうるおいを閉じ込めてしっとりとした状態を保ちます。

毎日のケアを「習慣」にすることで、清潔・快適・安心のある手へ。
もちろん、ケアビューティスト自身のケアにもおすすめです。

ケアビューティストにできること

私たちが行うのは「治すこと」ではありません。
けれど、見た目を整え、乾燥を防ぎ、高齢者ご自身が手に前向きに意識を向ける機会をつくることは、QOL(生活の質)に確かな変化をもたらします。

それは、包括的でホリスティックなケア。

介護×美容が作り出す「心と体を整える時間」こそ、ケアビューティストの専門領域です。


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