
高齢者ケアの現場では、衛生用品や化粧品を選ぶ基準として「無香料」であることが、大切な選択肢のひとつとされてきました。
その背景には、明確な理由があります。
刺激となり得る要素を極力減らすこと。
安心・安全を最優先に考えること。
介護施設など、集団生活の場におけるケアのリスク管理を減らすこと。
それらはすべて、高齢者ケアにおいて欠かすことのできない視点です。
特に施設などの集団生活の場において、リスクを最小限に抑えるという「無香料」の選択は、ひとつの正解であり、誠実な配慮だといえるでしょう。
ミライプラスショップは、誰もが不安なく携われる高齢者ケアの考え方を大切にしたいと考えています。

それでも、「香り」を持たせた理由
ミライプラススキンケアの開発にあたり、私たちが立ち止まって考えたことがあります。
それは、高齢者ケアにおいて安心・安全を追求するあまり、スキンケアの時間に本来大切にしたい「感覚」そのものが、設計の外に置かれてしまっていないだろうか、という問いでした。
その問いは「いつまでも自分らしさとともに生きてほしい」という、介護美容の根本にある考え方とも重なっています。
高齢者に特化したケア用品は、より安全な選択を重ねるなかで、次第に「要素を減らす」方向へ進みます。
香りや彩り、個性──それらを控えることは、リスクを避けるための合理的な判断です。
一方で、「感じる存在」としての人を、どこかで置き去りにしてしまってはいないだろうか。
そんな問いも生まれます。
ミライプラスは、高齢者の方々を「守る対象」としてだけではなく、今この瞬間も心にみずみずしい感覚を持ち、私たち若い世代が日々感じている感覚や思いを豊かに実らせた延長線上にいる存在として捉えたいと考えました。
スキンケアにおける無香料は、「刺激を与えない」というやさしい配慮のかたちです。
一方で、香りを残すということは、「感覚を信じる」というもうひとつの配慮でもあります。
ミライプラスは、後者の視点もまた、高齢者ケアには必要な要素だと考えました。

介護現場の現実に即した、設計の境界線
もちろん、香りは常に人にポジティブに寄り添う要素ではありません。
ケアを受ける方のその日の体調や気分によっては、香りが負担として感じられてしまうことも、介護の現場では決して珍しいことではありません。
だからこそ、ミライプラスは「すっと消える」香りを選びました。
共通しているのは、揮発が早く、空間や肌に長く残り続けないこと。
その一瞬、ケアの空間だけに漂い、次の方のケアや共用スペースの空気には干渉しない設計です。
また、多くの方に好まれやすいクセのない香りで、スキンケアの時間にそっと意識を向けられることも大切にしました。
すっきりとしたローズマリーに、明るくフレッシュな印象の柑橘を組み合わせ、思わず深呼吸したくなるような、ほのかな香りづけにこだわっています。

ローズマリー
心地よい清涼感を持ち、「今、自分の肌と向き合っている」という小さな区切りをつくる役割を担います。

グレープフルーツ
立ち上がりが軽く、気配のように消えていく香り。スキンケアの時間を明るくフレッシュに彩ります。

レモン
清潔感のある爽やかさで心地よく、「ここで一区切り」という感覚を受け取りやすくします。
これら3種類を組み合わせたほのかな香りは、ケアを受ける高齢者の方々に大きな変化を起こすためのものではありません。
それでも、スキンケアの時間が「今、ここにいる自分」を感じる要素のひとつになってくれたら。
そんな思いを込めた設計です。

無香料も、香りのある時間も、どちらも正解だからこそ
極力要素を控えた、無香料のケアが必要な方がいる。
香りのあるケアの時間を、心地よく感じる方もいる。
ミライプラススキンケアが示したいのは、介護の現場の厳しさを理解したうえで、それでもなお、リスクを丁寧にコントロールしながら「高齢者の感覚を信じる」という選択です。
年齢を重ねることが、無機質な選択肢だけに置き換えられてしまわないケア。
そして、人の尊厳を守るケアの在り方として、心にときめきやうるおいを与えるようなケアの在り方を追求していく。
ミライプラススキンケアは、そんなスキンケアでありたいと考えています。
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