
「三寒四温(さんかんしおん)」とは、寒い日が三日続いた後に、暖かい日が四日ほど訪れる――
そんな寒暖差を繰り返しながら、少しずつ春へと向かっていく、季節の移ろいを表す言葉としてよく使われています。
2月から3月にかけてのこの時期、「今日は暖かいな」と心が緩んだかと思えば、翌日はぐっと冷え込むなど、体は知らず知らずのうちに影響を受けがちです。
特に高齢者の方々にとっては、日々のリズムや気分の揺らぎとして、小さなサインが表れやすい時期でもあります。
- なんとなく、いつもの元気が出ない
- 言葉が短くなり、会話が途切れがち
- ふとした表情に、少しの強張(こわば)りが見える
漢方では、このような状態を 「気(き)の滞り」と捉えます。

漢方の視点で見る「気の巡り」
漢方では、体と心をめぐるエネルギーを「気(き)」と表現します。
季節の変わり目や環境の変化が重なると、この気の巡りが滞りやすくなり、重だるさや気分の落ち込みとして表れやすくなると考えられています。
そんな“滞り”を整え、再びさらさらと流していく考え方を、漢方では「理気(りき)」と呼びます。
三寒四温の時期は、体も心も無意識のうちに力が入りがちで、まさに“滞る”イメージの日々。
だからこそ、介護美容の現場でも「不調を正そう」と構えるのではなく、「滞っているものを、そっと流してあげる」という理気の視点を取り入れてみてはいかがでしょうか?

揺らぐ季節に、香りのアプローチ
この時期、ケアの現場でも「元気を出してもらおう」「気分を変えてあげよう」と、つい働きかけを強めてしまうことがあるかもしれません。
でも、そんなときこそ、無理に変えようとするのではなく、ふっと力を抜ける“きっかけ”をつくることが、結果的にその方の安心や落ち着きにつながることもあります。
その入口として取り入れやすいのが、空気感に働きかけられる「香り」です。
古くから、理気のために親しまれてきたもののひとつに、柑橘類の香りが挙げられます。
柑橘の香りには
- 気分を切り替えるきっかけになる
- 馴染みある印象に、気持ちがふっと和らぎやすくなる
- 明るく、風通しのよい空間づくりに使われやすい
といった特徴があるとされており、介護美容の現場でも「施術の前にパーソナルスペースの空間を整える」「ハンドトリートメント前に深呼吸を促す」など、さりげない形で使われています。
香りの感じ方には個人差がありますが、ぜひこの時期のケアに添えてみてはいかがでしょうか?
ミライプラスショップでは、高齢者にも好まれやすい柑橘系の和精油を、冬季限定で3種ご紹介しています。
いずれも、強く主張しすぎないやさしい香り立ちのため、その方の反応やその日の様子に合わせて無理なく使い分けることができます。

季節の変わり目をやさしく迎えるために
三寒四温は、春へ向かう過程で必要な、揺らぎの時間。
その揺らぎを否定するのではなく、気の巡りに目を向けて、季節を心地よく渡る方法を考えてみましょう。
香りをきっかけに、表情がふっとやわらぐ瞬間が生まれることがあるかもしれません。
揺らぐ季節を受け入れ、
移ろう流れにそっと寄り添うように。
柑橘の香りを、春を迎えるためのやさしいケアのひとつとして、その方のペースに合わせた無理のない形で取り入れてみてはいかがでしょうか。
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