―― 香りを添えて、夏の心地よい眠りを ――

一年の中で、最も暑さが厳しくなる頃とされる二十四節気の「大暑(たいしょ)」。例年7月23日頃から8月6日頃までの時期にあたります。
土用の丑の日をはじめ、花火大会や大きなお祭りなど、夏ならではの風物詩が多く見られる季節です。昔から人々は、食生活や日々の過ごし方を工夫しながら、厳しい暑さを元気に乗りきろうとしてきました。
その一方で、現代では猛暑日や熱帯夜が続き、昼も夜も身体に負担がかかりやすくなっています。特に高齢者の方は、暑さや喉の渇きを感じにくいこともあるため、水分補給や食事、室温の調整とともに、夜にしっかりと身体を休めることも大切です。
今回は、真夏の睡眠環境を整えるポイントと、心地よい夜を過ごすための香りの取り入れ方をご紹介します。
夏の暑さと、高齢者の方の睡眠
年齢を重ねると、眠りが浅くなったり、夜中や早朝に目が覚めることが増えるといわれています。
さらに夏は、夜になっても気温が下がらず寝苦しかったり、汗の不快感やエアコンによる冷えが気になったりと、眠りを妨げる要因も多くなります。
「エアコンをつけているのに眠りにくい」
「夜中に何度も目が覚める」
「朝起きても疲れが残っている」
こうした状態が続くと、知らないうちに体力を消耗し、日中の活動にも影響してしまいます。
まずはエアコンや除湿機能を適切に使い、寝室の温度や湿度を心地よい状態に整えましょう。寝具や衣服も、その方の体調や暑さ・冷えの感じ方に合わせて調整するのがおすすめです。
高齢者の方は、暑さを感じにくかったり、冷房を控えようとしたりすることもあります。ご本人の感覚だけに頼らず、室温計や湿度計も使いながら、周囲の方が環境を確認することも大切です。
こうした睡眠環境を整えたうえで、眠る前の気持ちを穏やかに切り替える工夫のひとつとして、やさしい香りを取り入れてみてはいかがでしょうか。

おやすみ前に楽しみたい、ラベンダーとスイートオレンジ
夏の夜におすすめしたいのが、「ラベンダー」と「スイートオレンジ」の組み合わせです。
真正ラベンダーは、甘さの中に爽やかさを感じる、穏やかで落ち着いた印象の香り。スイートオレンジは、みずみずしい果実を思わせる、明るく親しみやすい香りが特徴です。
ラベンダーにスイートオレンジの柔らかな甘さを重ねることで、重くなりすぎず、ほっと気持ちがゆるむような香りを楽しめます。
お休み前の習慣として香りを取り入れることで「そろそろ一日を終えて休む時間」と、気持ちを切り替えるきっかけになるかもしれません。

手軽にできる香りの取り入れ方
高齢者の方の居室やご自宅では、火を使わず、手軽に準備も片付けもできる方法がおすすめです。
●ティッシュやアロマストーンを使う
ティッシュやアロマストーンに精油を1、2滴ほど垂らし、枕元から少し離れた場所に置きます。香りが強いと感じる場合は置く場所を遠ざけ、ほのかに感じる程度に調整しましょう。手軽に始められ、すぐに片付けられるのもよいところです。
●アロマミストを使う
寝具にも使用できるアロマミストを、寝室の空間や枕カバーに軽く吹きかけます。顔や肌が直接触れる場所は避け、商品の表示や使用方法を確認して使いましょう。就寝する少し前に使用すると、柔らかな香りを楽しめます。
●ディフューザーを使う
寝室全体に香りを広げたいときは、タイマー機能付きのディフューザーも便利です。一晩中使用するのではなく、まずは就寝前の短い時間から試し、部屋の広さや香りの感じ方に合わせて調整しましょう。

高齢者の方と香りを楽しむときのポイント
香りの好みや感じ方には個人差があります。自分には心地よい香りでも、ほかの方には強く感じられたり、苦手だったりすることがあります。
高齢者施設や複数人で過ごす場所では、必ずご本人や周囲の方の意向を確認し、近づいたときにかすかに感じる程度から始めましょう。
体調がすぐれないときや、気分が悪くなったときは、すぐに使用を中止してください。持病がある方や治療中の方に使用する場合は、必要に応じて医師や専門家に相談しましょう。

ケアをする人にも、心地よく休む時間を
暑い季節にしっかりと睡眠を取り体を休めることは、翌日を健やかに過ごすための大切な土台です。
それは、高齢者の方だけでなく、日々ケアを届けているご家族やケアビューティストの皆さまにとっても同じです。
高齢者の方の体調や室内環境に気を配る毎日は、思っている以上に心身のエネルギーを使います。その方をいたわるのと同じように、自分自身を癒す時間も大切にしたいものです。
日中の気分転換には、過去のコラムでご紹介した、すっきりと爽やかな「和種はっか油」を。そして夜は、ラベンダーとスイートオレンジのやさしい香りを添えて、一日の終わりにほっとするひとときを。
室温や湿度、食事、休息の環境を整えながら、香りも上手に取り入れて、高齢者の方もケアをする方も、大暑の夜を心地よく過ごしていきましょう。
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